マットボード・マウントボード

ベンブリッジ・アートケアボード

ベンブリッジは1882年に創業され、1891年にはアメリカで初めて装飾用マットボードで特許を得た会社です。

1879年には化学パルプの アルファセルローズ木材パルプからリグニンを除去した科学パルプ。
経年によって酸を生じるリグニンを含まないため、コンサベーション用途の紙の原料としてよく使われる。
でアルカリ緩衝剤を添加したマットボードを世界で初めて発売しました。 「アルファマット」と名付けられたこの商品は、無酸で リグニン木材の20%〜30%を占める成分。
経年によって酸性に変化するため、リグニンを取り除いていない木材パルプで作られた紙は、製造時に弱アルカリ性に調整されていたとしても、年月が経つと徐々に酸性になっていく。
酸性の紙は作品に悪影響を与えるため、コンサベーション用途には使えない。
を含まない最初のコンサベーション・マットボードとして高く評価され、これを機にアメリカ議会図書館は紙とボードを購入する際に3〜5%のアルカリ緩衝剤添加を求めるようになりました。

アルファマットは日本でもほぼ同時に発売され、国立西洋美術館などに採用されました。酸を含まずアルカリ緩衝剤を添加した紙が日本で普及したのは80年代中期からであり、これよりはるかに早く対応が取られていたことになります。
1987年、アメリカ国立公文書記録管理局(NARA=National Archives and Record Administration)は、国立標準技術研究所(NIST)に委託した研究の結果、アルカリ緩衝剤を添加したコットンラグのボードでも、亜硫酸ガス、オゾンガスなどの汚染ガスに対しては保護効果を発揮しない、と発表しました。
また、1988年にはANSI IT9.6で「白黒写真用のボードは87%以上の アルファセルローズ木材パルプからリグニンを除去した科学パルプ。
経年によって酸を生じるリグニンを含まないため、コンサベーション用途の紙の原料としてよく使われる。
で作られ、2%以上のアルカリ緩衝剤でpH7〜9.5に調整されているものを使うこと」が標準化されました。

ベンブリッジはこれら全ての要求を満たす理想的なボードの製造を目指し、1994年に「アルファマット・アートケア」を発売しました。
このマットはマイクロチャンバーと呼ばれる特許技術で製造されており、ボードに含まれるゼオライトSPZ 沸石。加熱すると含まれる水分が分離して沸騰しているように見えることから名付けられている。
多孔性(細かい孔がたくさん開いている)の物質で、活性炭のように有害物質や臭気を吸着する能力があるため、モレキュラートラップ(対象物を捕らえるための罠の役割をする分子構造)として利用される。
コンサベーション用としては、捕らえた有害物質を放出しないことも非常に重要。
元々自然界に存在する鉱物だが、人工的に合成することも可能で、モレキュラートラップとしては孔の大きさや形をデザインすることで、目的の対象物をより効率的に捕らえることが出来る。
がモレキュラートラップ(対象物を捕らえるための罠となる分子構造)となり、二酸化窒素、亜硫酸ガス、蟻酸、ホルムアルデヒド、酢酸、オゾンガスなどのガスを捕らえ、外部に出しません
ゼオライト 沸石。加熱すると含まれる水分が分離して沸騰しているように見えることから名付けられている。
多孔性(細かい孔がたくさん開いている)の物質で、活性炭のように有害物質や臭気を吸着する能力があるため、モレキュラートラップ(対象物を捕らえるための罠の役割をする分子構造)として利用される。
コンサベーション用としては、捕らえた有害物質を放出しないことも非常に重要。
元々自然界に存在する鉱物だが、人工的に合成することも可能で、モレキュラートラップとしては孔の大きさや形をデザインすることで、目的の対象物をより効率的に捕らえることが出来る。
のこのような働きは、2011年の福島原子力発電所の事故で汚染水の放射性セシウム吸着除去に使用されたことで、一般に広く知られるようになりました)。
また、ガスが水分と結合して硫酸や亜硫酸などに変化した場合は、アルカリ緩衝剤の炭酸カルシウム紙など弱アルカリ性にするための、代表的な添加物。炭酸マグネシウムが使われることもある。で中和する働きを持っています。
こうしたゼオライト 沸石。加熱すると含まれる水分が分離して沸騰しているように見えることから名付けられている。
多孔性(細かい孔がたくさん開いている)の物質で、活性炭のように有害物質や臭気を吸着する能力があるため、モレキュラートラップ(対象物を捕らえるための罠の役割をする分子構造)として利用される。
コンサベーション用としては、捕らえた有害物質を放出しないことも非常に重要。
元々自然界に存在する鉱物だが、人工的に合成することも可能で、モレキュラートラップとしては孔の大きさや形をデザインすることで、目的の対象物をより効率的に捕らえることが出来る。
炭酸カルシウム紙など弱アルカリ性にするための、代表的な添加物。炭酸マグネシウムが使われることもある。の効果は、2000年から 2003年の3年間にゲッティ保存研究所(GCI=Getty Conservation Institute)のジェームズ・ドゥルジクが 活性炭、シリカゲル、水酸化カリウム、微小孔構造炭酸カルシウムなど、既知の18種類の悪性ガスの吸収剤をテストした結果、自然界に存在する他の吸着材を大きく引き離して最も効果的な組み合わせである、と評価しました。

参考:
アートケア 美術品の展示と保存のための技術と材料(PDF)
アルファマット・アートケア(ラーソン・ジュール・ニッポンのページ)

現在でも、アートケア商品はプロアクティブ将来起こり得る問題を予測して、その対策を事前に講じること。
保存に関しては、作品・保護対象物が損傷する前に、その損傷の原因となるものを排除するなどの対策。
予防的保護対策は、ゼオライトや活性炭などによる有害物質の吸着除去、コロージョンインターセプトによる腐食ガスや菌などの除去、脱酵素パッケージなどがある。
な保護を提供する唯一のミュージアム・ボードとみなされています。

モレキュラートラップのガス吸着テスト(独立したテスト期間数軒の平均値)
  通過ガス(PPM)
亜硫酸ガス 酸化窒素 酢酸 アンモニア 二酸化炭素 ホルムアルデヒド
吸収剤 炭酸カルシウム紙など弱アルカリ性にするための、代表的な添加物。炭酸マグネシウムが使われることもある。 200 250 4000 80 95 50
ゼオライトSPZ 0 0 0 0 0 0

アートケア商品のガス吸着・放出テスト

テスト機関:EFI(バージニア州シャンティリー)

 <吸着>
ガス テスト方法 テスト結果
亜硫酸ガス 容量40mlのガラス瓶に1gのゼオライトを入れたものを40 (それぞれのガス用に20ずつ)用意し、エアロック、温湿度計、ガス注入・排気孔付きのグローブボックス(ゴム手袋付きボックス)にサンプルを入れる

グローブボックス内の亜硫酸ガス/二酸化窒素濃度が30ppmになるよう、それぞれのガスを充填
相対湿度は50%±5%を維持
温度は21℃±3℃を維持

定期的にサンプルを取り出し、重量増加=ガス吸収量を測定
> 平均13%の重量増加ゼオライト1gあたり0.13gの亜硫酸ガスを吸着
重量増加は22日目に頭打ちとなった
二酸化窒素 > 平均5.8%の重量増加ゼオライト1gあたり0.058gの二酸化窒素を吸着
重量増加は13日目に頭打ち状態となった
  <放出>
ガス テスト方法 テスト結果
亜硫酸ガス 0.13gの亜硫酸ガスを吸着したゼオライト1gを計測  ゼオライトに吸着された亜硫酸ガスが放出されるかどうか、3つの方法で測定
飽和状態のゼオライトの質量変化
蓋を開けた箱に入れ、通常の環境下に置いて、その質量の変化を測定
> ガラス瓶を300日以上放置
ガラス瓶内のゼオライトに質量の変化はなかった
亜硫酸ガスの放出なし
ドレーゲルチューブによる測定
密閉したガラス瓶に飽和状態のゼオライトを入れ、
ゼオライト粉末の上に溜まった空気に亜硫酸ガスが含まれているかどうかを測定
> 6週間の測定で、ガラス瓶内の空気に亜硫酸ガスは検出されなかった
亜硫酸ガスの放出なし
ガスクロマトグラフィーによる測定
飽和状態のゼオライト粉末をパージチューブに入れ、清浄で乾いた空気に10分間晒す
270℃に熱した吸収チューブと放出された気体を
光イオン化・水素炎イオン化測定器付きの毛細管カラムを使い、連続的に分析する
> ゼオライトから亜硫酸ガスの放出は検出されなかった
高温にも影響を受けずゼオライトは亜硫酸ガスをしっかりと吸着し続け、放出しなかった
二酸化窒素 0.04gの二酸化窒素を吸着したゼオライト1gを20用意し、それを計測  ガスクロマトグラフィーで、以下の2つを計測
ゼオライト粉末をヘリウムに晒し、その後100℃で30分間加熱 > 二酸化窒素の放出は検出されなかった
ゼオライト粉末をヘリウムに晒し、その後250℃で30分間加熱 > ごく微量の窒素、酸素、二酸化炭素、アルゴン、一酸化窒素、二酸化窒素を検出
  非常に高温で実験が行われたが、通常の環境下ではもちろん、そのような高温の状態でも、二酸化窒素はゼオライトに閉じ込められたままである

アートケアの特性

全てのアートケア製品は特許のマイクロチャンバー技術を導入して製造されており、ゼオライトとアルカリ緩衝剤の独自の組み合わせにより、酸性ガスや酸性に変化するガス、経年劣化によって生じる有害物質を捕らえて中和します。
全てのアートケアペーパーのpH水素イオン濃度指数。
物質の酸性、アルカリ性の度合いを示す数値。pH値7が中性(アルカリ性でも酸性でもない)で、数値が大きくなるとアルカリ性、低くなると酸性を示す。
酸性の紙は作品に悪影響を与えるため、コンサベーションに使われる紙の多くが弱アルカリ性にpH調整されている。布・皮革・一部の写真作品など、アルカリ性を嫌う素材のコンサベーションには中性の紙が利用される。
値は8.9±0.4(TAPPI T-509 om-88指定の泥奨パルプ非加熱抽出方式による)、アルカリ緩衝剤残留率(ANSI IT9.2-1991 Sec5.2により測定)は3〜5%です。

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